プロローグ

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「もういいよ、充なんて知らない」 ただそう言って別れたのはちょうど一週間前だ。 確か小雨が降っていて、少し寒かった。 ただ肌寒いだけでなく、頭の芯まで冷え切っていた。 本当は淋しいのに、傍にいて欲しいのに。 素直じゃないって言われればそれまでかもしれないけど その言葉じゃ片付けられないトゲがあった。 充のことに限らず、全ての事に対して。 「モウイイヨ、アンタナンテ」「ドウデモイイ、ホットイテ」 この二つの言葉が今の私の口癖だ。直したいとは思っているけど…… この言葉が楽だと思っているうちは無理かもしれない。 「どうしてこんな人間になっちゃったんだろーなあ。昔は明るくていい子だったのに」 これもよく言う言葉。何が不満なのか分からない。何かに不安なのかも分からない。 ただ漠然と怖かった。 「助けて。私を元に戻して」 声にならないSOSを何回出しただろう。 家族に、友達に、そして充に…。
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