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アカリは思わぬ攻撃に反応する事が出来ず、頭部を守るように身構え目を瞑った。
――――ズシャ
その直後、聞き慣れない音が耳に届く。
それは、何かを切り裂く音……暫撃の音だった。
「グギャギャギャ……」
その刹那、シャドーのけたたましい悲鳴が当たりに響く。
アカリは、今自分が置かれている状況を確認する為、恐る恐る瞼を開けていく。
すると、目の前に見知らぬ黒髪の男がアカリに背を向け立っていた。
いや、同じ高校の制服を着ているから同じ高校の生徒なのだろう。
黒髪の男は赤い柄の漆黒の刃……黒刀を握りしめている。
そして、目線を黒髪の男からシャドーの方に移すと、シャドーは奇妙な悲鳴をあげながら苦しみ叫んでいた。
良く見ると先程、くねらせ鞭の様に振って来た腕が消失している。
黒髪の男が黒刀でシャドーの腕を切り裂いたのだ!!
黒髪の男はアカリの方に視線を移し見据えている。
振り返った黒髪の男はとても綺麗な顔立ちをしていた。
世間一般的に言う美男子と言われる種類だろう。
アカリは綺麗な顔立ちの黒髪の男に一瞬瞳を奪われてしまっていた。
----だが
その黒髪の男が口を開いたかと思ったら、思わぬ言葉にアカリは目を大きく見開いた。
「--邪魔」
黒髪の男はそう告げると、シャドーの方に目線を戻す。
「なっ……何が……」
アカリが反論しようとした時……
怒りで我を忘れたシャドーが残った片腕を荒々しく、くねらせ黒髪の男に襲いかかった。
黒髪の男は素早く伸びて来る腕の軌道を読み、躱しながらシャドーに駆け寄って行く。
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