転校生

15/19
前へ
/122ページ
次へ
「ねぇねぇ……レン君って何処から来たの!?」 「シャドーを倒したってホント!?」  レンは困っていた。  まさかシャドーを倒した事で此処まで騒ぎになるとは思っていなかったからだ。  今まである秘密がきっかけで転校ばかりしていたレンは、自然と人から距離をとって生きてきた。  どうせまた直ぐに転校するのだからだと……  今回も余り人に関わらず、転校するまでの間1人大人しくいようと思っていたのだが……。  学園への登校の途中思わぬ出来事と遭遇してしまう。  そう、朝の事件……大通りに現れたシャドーだ。 *****  レンは馴染みのない大通りの歩道を登校の為歩いていると……  前方から女の子の叫び声が響いて来た。  レンは反射的に叫び声が訊こえた方に駆け出した。 ――――すると!!  黒い影のような人形の塊と、それを離れた場所から囲むギャラリー、学園の生徒が視界に入ってきた。  レンはギャラリーの場所まで駆け寄ると……そこには、赤い髪の女の子が1人闘っていた。 ----いや  闘っていると言うよりは一生懸命シャドーの攻撃を避けている。 (何で誰も助けないんだろ?)  ギャラリーは「危ない!」「キャ~」などと言葉を発するものの、誰も助けに行こうとしなかった。  助けに行こうとしなかったのではなく……行けなかったのだ。  シャドーと闘っている赤い髪の女の子を囲むギャラリーは全員1年生だった。  ここ天龍士学園の1年生は2学期になるまで、実技やクエストを受けていないばかりか……  シャドー……魔物と闘う為の武器さえ持っていないからだ。  
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2275人が本棚に入れています
本棚に追加