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「ねぇねぇ……レン君って何処から来たの!?」
「シャドーを倒したってホント!?」
レンは困っていた。
まさかシャドーを倒した事で此処まで騒ぎになるとは思っていなかったからだ。
今まである秘密がきっかけで転校ばかりしていたレンは、自然と人から距離をとって生きてきた。
どうせまた直ぐに転校するのだからだと……
今回も余り人に関わらず、転校するまでの間1人大人しくいようと思っていたのだが……。
学園への登校の途中思わぬ出来事と遭遇してしまう。
そう、朝の事件……大通りに現れたシャドーだ。
*****
レンは馴染みのない大通りの歩道を登校の為歩いていると……
前方から女の子の叫び声が響いて来た。
レンは反射的に叫び声が訊こえた方に駆け出した。
――――すると!!
黒い影のような人形の塊と、それを離れた場所から囲むギャラリー、学園の生徒が視界に入ってきた。
レンはギャラリーの場所まで駆け寄ると……そこには、赤い髪の女の子が1人闘っていた。
----いや
闘っていると言うよりは一生懸命シャドーの攻撃を避けている。
(何で誰も助けないんだろ?)
ギャラリーは「危ない!」「キャ~」などと言葉を発するものの、誰も助けに行こうとしなかった。
助けに行こうとしなかったのではなく……行けなかったのだ。
シャドーと闘っている赤い髪の女の子を囲むギャラリーは全員1年生だった。
ここ天龍士学園の1年生は2学期になるまで、実技やクエストを受けていないばかりか……
シャドー……魔物と闘う為の武器さえ持っていないからだ。
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