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アカリが見ているのはどうやらニュースみたいである。
「昨晩、シャドーが現れましたとの情報が入っております。
――ですが、シャドーは直ぐに特殊部隊SHRにより駆逐されたとの事です。
このシャドーですが、黒い物体の動物に近い形や人に近い形をしている魔物で……
最近増加傾向にあると言うことです。
もし、遭遇してしまう事がありましたら、危険ですので直ぐに逃げて下さい」
味噌汁を啜りながらニュースを見ていた母親は「物騒な世の中になったわね」と目線をアカリにずらした。
アカリは何故かニュースを見据えながら、ギリっと唇を噛み締めている。
天魔戦争は神様のお陰で終結を迎え平和は訪れた。
――――しかし
シャドーなどの魔物は戦争が終わっても何処からか現れ、世の中を苦しめ続けているのだ。
母親はアカリの様子を見て俯き、一瞬暗い表情になるが、直ぐに元の表情へ戻ると、自分が食べ終わった食器を片付け始めた。
「アカリ、早く食べなさい。
学校に遅れるわよ」
アカリは母親の言葉に我に返り「えっ、もうそんな時間」と慌ただしく朝御飯を食べ始めた。
そして、バタバタと食べ終わった食器を片付けると、学校の鞄を手に持ち「行ってきます」と慌ただしく靴を履き玄関から飛び出して行った。
そんな様子を苦笑いをしながら見ていた母親だが……
玄関のドアが閉まると、俯きまた暗い表情を浮かべていた。
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