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私を呼び出したのはお前か?
私はランプの精、お前の望みを三つ叶えてやろう。
ただし、願いを増やせ、死人を生き返らせろ、そして恋愛の成就だけは認められない。
時間はたっぷりある。好きなだけ悩むがいい。
…ほう、願い事は既に決まっていると。
一つ目は『私の望みを聞かせてくれ』か、まさか私の望みを尋ねられる日が来るとはな。
私の願いか、それは『自由になりたい』、であろうな。
一つ目の願いは叶えてやった、二つ目を言え。
…ふむ、『お前に、私の願いを叶えさせて欲しい』か。
一つ目の願いから薄々はそうではないかと思ったが、本当にこのような時が訪れるとは。
少し話をしていいだろうか? そうか、ありがたい。では話させてもらおう。
私は長い間人々の望みを叶えてきた。欲深い人間や無欲な人間の願いをな。
だが誰一人として私を思ってくれる者は居なかった。
欲深い人間は己の幸せと他人の不幸を願い、無欲な人間はささやかな幸福と他人の幸せを望んだ。
そんな終わりの見えない繰り返しに嫌気がさし、叶うなら消えてしまいたいとさえ思ったこともあるのだが…。
いざ終わりが来るとなると、その繰り返しも悪くないと思えるから不思議なものだ。
それで私の願い事だが、『私を助けてくれ』、というのはどうだろうか。
つまり今日私とお前は出会わなかった事にして、私を今までの繰り返しに再び戻してはくれまいか。
三つ目の願いで私の魂を望むであろう悪魔よ。
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