告白とキス

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夏の暑さがやって来るころ、とある居酒屋で会社の暑気払いが行なわれていた。 最初はみんなテーブルについていたが仲のいい同士で席を移動したりと、いま奥のテーブルについているのはあずみと雅美、それに誠の3人だけになっていた。 「あずみ彼氏も作らないでまだ一人なんだよ」 酒が入りちょっといい気分の雅美が言う。 「ちょっと、結婚したからってもうそんなこと言うの?薄情者っ」 「へえ、そうなんですか?」 「あ~っ、いないの知っててそう言うの?」 「あ、いや、すみません」 ほろ酔いのあずみもいつも以上に言葉が軽くなっている。 「そうだよ。ここ数年はまわりの友達もどんどん結婚しちゃって招待状貰うばっかり。雅美も結婚しちゃうしさー」 結婚したくない訳じゃないけど相手はいない。諦めてる訳でもないが、一筋の薄い希望も今は差し込んでは来てくれない。 多少なりともそのことを気にしていたあずみは、少々愚痴っぽくなり冷めて固くなったつまみを口に放り込み、その矛先を目の前にいる誠に向けた。 「知らなかったんだから許してあげなよ、ねえ?あっそうだ、内川くん付き合ってあげてよ」 「ちょっと雅美!年考えてっ!?こんなおばさんなんて相手にならないよねっ。それに内川くんだって彼女の一人や二人いるよ」 「いや、一人で充分だと思いますけど……。それに彼女なんて今はいませんよ」 「え~意外」 雅美とあずみは顔をあわせ同時にそう言と、やはりこちらも場の雰囲気に飲まれていたのか、口が軽くなっていた誠は「好きな人はいますけど」と続け照れて笑った。 その言葉に目の前の女子が食いつかないわけはない。 「えっそうなの?告白は?言っちゃいなよ!内川くんカッコいいから告白すれば断る人なんかいないよ」 二人は目を輝かせ誠を煽る。 「いやいやいや……」 そんな照れた様子の誠を見て雅美は「可愛いなぁ」と笑った。
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