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「あっ、ちょっとごめん、電話」
雅美は着信で光っている携帯を手に席を立って電波の入りやすい場所へ向かって行き、その姿を見送りながら、誠が口を開いた。
「あずみさんこそ、あずみさんに憧れてる人多いんじゃないですか?あずみさん綺麗だし仕事もできるし」
「あはは、ないない。30後半のおばさんだよ?内川くんこそ告白しちゃいなよ」
「いや~……」
「仕方ないな、じゃあ練習してみよっか?」
「練習?」
突然の言葉に同じ言葉を繰り返した。
「そう。あたしをその子と思って告白してみて」
「あの……あずみさん酔ってます?」
「酔ってないよっ。ほら言ってみて。ね、誠くん」
程よく酔ったあずみにいきなり名前を呼ばれ誠はドキッとした。
「本当に?」
あずみはそれに「うん」と頷き笑いながら首を縦に振る。
「えっと……」
「ほら、早く。なあに?ま・こ・と・くん」
すっかりその気になっている彼女に何を言っても無駄の様な気がし誠は一度咳払いをした。
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