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次の日。
会社では普通に振る舞っていたが誠と目を合わせることだけができなかった。
「あずみさん」
「はい?」
思わず振り返るとそこには誠の姿が。あわてて顔を戻して止めていた足を動かした。
「俺のこと避けてませんか?」
「いいえ、そんな事……ないよ」
歩きながらの会話は続いた。
「昨日はすみませんでした。つい調子に乗ってしまって。……でも言った事、あれ嘘じゃないですから。俺は……」
「ちょ…ちょっと待って!」
焦ったあずみはつい大きな声を出して誠の言葉を遮った。
廊下にいた人がびっくりして振り返ってあずみを訝しいげに凝視する。
気まずくなり思わず誠の腕を掴んで誰も来ない階段の方へやってきた。
「あたしも謝るわ、ごめんね」
「なんであずみさんが?」
「あたしがからかったからでしょ?だから、からかってあんな……ことしたんでしょ?」
昨日のキスを思い出し顔が一瞬赤くなりそうになったが、何事もなかったように気丈に振る舞った。
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