告白とキス

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そしてなにか言いたげな誠の口が動く前にあずみが口を開いた。 「二人とも酔ってたの。あれは……事故、そう事故だったの。だから内川くんも気にしないで」 「事故?そんなんじゃない。俺は……」 にっこりと笑ったあずみとは対照的に、誠は怒っているような悲しそうな顔をした。しかしあずみは気を引き締め上司の顔になった。 「事故よ。あたしと内川くんは上司と部下。ただそれだけ。それ以上でも以下でもない」 そう言った途端、誠はとても悲しそうな顔になりあずみは胸がチクンと痛んだ。 しかしそれを表には出さずに「あたしも忘れるから内川くんも忘れて。さあ、仕事に戻って」と厳しく言い、踵を返し振り返らず歩き始めた。 本気なわけないじゃない。 だって彼は自分よりも一回り以上も年下なんだから。 ただ酔った上司をからかっただけ。 今の子の間ではキスは挨拶と同じで、好きでもない子ともノリでするってどこかで聞いた。 だから気にすることない。 あれば『事故』だったんだから……。 あずみは自分にそう言い聞かせながら急ぎ足で戻っていった。
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