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「このままではいけない」
漆黒の暗闇の中、女性の声が紡がれる。
紡がれた声は小さく、反響している。
別の男性の声も反論を示す。
「それは判っています。しかし、どうするのです?」
その声にはストレスが滲み出ている。
「私のお願いしていたものはできましたか?」
女性の声には凛としたものがある。
意思の強さが小さな声にも伺う事ができる。
「できていますが、何に使うのですか?」
男性の声には疲れが溜まった様子がありありとわかる。
この男性は確かに疲れていた。
秘め事を持ちつつ、外部に隠しての作業には神経を使っていた。
「あなた方神官にも苦労を掛けて申し訳ないですが、巫女には巫女の戦い方があります。」
その女性は巫女を名乗り、戦いを望まざるを得ない状況がこの漆黒の洞窟の外には広がっている。
洞窟の外には人間の集落がある。
いや、あったと言うべきか。
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