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素振り練習は、イチ・ニー・サンの掛け声を順番に掛けながら一周行う。
前田先生は、距離が有るので小さな声ならば彩達は会話が出来る。
わざと仲間に順決めの際、一番にやるっ!と彩が立候補し、いいよ~の返事で配置に就いた。
彩が終わると薫…美喜が素振りのタイミングを言った。
それが終わると態勢はしなくちゃいけないケド、小さく会話が出来た…
「彩~、美喜に話して良い?」
薫が真ん中だから、美喜に小声で伝えて良いかと聞いてきた。
「うんっ、おねがいっ。」
薫から彩が琉クンに恋をしたと伝えてくれた。
直ぐに薫は顔をこちらに向けて言った。
「美喜も喜んでる!応援したいって!」
彩が思わず嬉しさから顔がふにゃっとなってしまった。
薫は、その顔を見て「彩~かおっかお!」
彩は、恥ずかしくなりながらも凛とした顔付きに戻すとまた素振りに力を入れた。
「素振り終わり~!」
最後の子が言った。
次は、前田先生が打つボールをテニス部全員で打ち返す為、コートに移った。
美喜が移動際、彩に
「琉クン、キーパーだから近いねっ!やったじゃん!!彩っ」
耳元に手をやり美喜がそう言うと、肩をトントンとしてコートに走って行った。
**えっ!びっくり!キーパーなんだぁ…**
クラスも隣で中々会えないもどかしい気持ちが有ったが彩は『この時間が一番近い距離っ!ウレシイっ!』
気持ちいっぱいに嬉しさを噛み締めた。
部活をやりながら、チラッとサッカー部を見た。
サッカー部は、テニス部から斜め隣で陸上部生徒は少ない為、見るにも障害が無く見放題だっ…!
見た目の先に移るサッカーゴール…
その真ん中に居る男の子をドキドキ見た…
『えっ!違う………』
彩は、さっき美喜から聞いたゴールキーパーの話にそこに居るのは琉クンだと思って見たので、酷く動揺した…
彩の動揺を見た薫が彩に言った。
「彩!違うよ。あれは、後輩っ。琉クンは、あっち!」
薫が指差した方に彩側からは小さくて遠いけど反対側のサッカーゴールに琉クンは居た…
『私ったら、何とゆぅ失態…』
自分の真っ直ぐさに笑いが込み上げてきて、部活中なので小声でアハハと頭に軽く手をやった。
「それだけ、琉クンに引き込まれちゃったんだねっ彩は♪」
薫に言われて、彩もハッと気付く…
『あの後からホント私、琉クンの事はがり……』
自分の琉クンへの思いがデカくなっている事に気付き、彩は何だか心が温かくなった。
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