いつどこで誰に会えるかなんて分からない

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ここまで計画を立てたのにおばさんに会えなかった。本当に来ないのだろうか。もしかしたら来る途中で何か事故に遭ったのだろうか。 とにかく待とう。 あたしはカバンから本を取りだした。本を いつもは本を読んでいるときは、精神が統一されているように思えた。本は小学校に入学して、文字が読めるようになってからすぐにはまったものだった。今でもなにか特技や趣味の欄にはいつも「読書」と書いているくらいだった。それからは、本は カバンに一つ入れることにしていた。 しかし、今日はそうは行かないようだった。 文字を見ていられなかった。本の世界というのだろうか、そういうものに入って行くことができなかった。  あの人のことが気になって仕方がなかった。本を閉じた。ポテトを食べることに専念することにした。なにか食べることでこのモヤモヤとした気持ちを抑えつけられるような気がした。  その日、あの人は現れなかった。あたしは9時になったので自転車に乗って家に帰った。もしかしたら、明日あの人は現れのかもしれない。もしかしたら、あの人は今日だってことを忘れているのかも知れない。もしかしたら、あの人は・・・・。  色んな可能性を考えた。しかし、再会は あたしの想像を超えた再会の仕方だった。
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