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がつくと猫のように丸くなって眠っていた。周りは暗くて何があるか分からない。とても狭いところに入れられているようだった。
立とうとすると、頭が壁にぶつかった。
「痛い。」
小声で言った。手で壁をぺたぺたと触った。
右の壁を触る。すると、扉のようなものが開いた。転がるようにあたしは外に出た。
外に出てみるとまわりは水が一面に広まっていた。入っていた建物を見た。それは小さな建物だと分かった。
「ようこそ。」
大きな声が洞窟に響いた。それは男の人の声だった。
それと同時にざぶざぶという音が聞こえた。船がやってきているが見えた。その船には人が乗っているのが見えた。真っ白の服を着ている二人組の人たちだった。
その船はすごい勢いでこちらにやってきた。
あたしは一言も発することができなかった。
船は建物の横に付けた。二人の男女が降りてきた。
「やぁやぁ、はじめまして。」
男があたしに話しかけてきた。あたしは何も話し返すことができなかった。
「緊張しているんだね。ここに初めてくる者はみんな緊張して何も話すことができなくなるよう。」
男がそう言った。
「ちょっと。自己紹介のほうが先にしたほうがいいんじゃない?」
女のほうが言った。女は近付いてきた。
「私の名前は玲子。こっちのおじさんの名前は逸樹。」
近付いてきた女は「女」という言葉では表すことができないほど、若かった。むしろ「少女」というほどに見えた。あたしと同い年くらいだった。
「おじさんはないでしょ。玲ちゃん。僕はまだ25歳だよ。」
「そうは言っても、私と10歳も違ってるじゃない。」
ふたりは小言を言い合っていた。25歳の10歳違い。てことは、あたしと3歳違いじゃない。そんなに年は変わらないのね。
「ここはどこですか?あたしはなんでここにいるの」
あたしは聞いた。ここはどこなの。見たことの場所。なぜここにいるの。
「ここはシュタ。私にはあなたがここにいる理由を話すことができないの。話すことができないというより私もよく知らないの。」
あたしはぱっと男の方を見た。
「あっ。僕に期待してる?僕も知らないんだよね。僕も玲ちゃんも君みたいにいつのまにか目覚めたらここにいたんだよ。まずはここから出ようか?」
二人は船のほうに歩き始めた。
「ついておいで。僕たちは怪しいものではないんだよ。君もこんな暗い所に居たくないだろ。」
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