いつどこで誰に会えるかなんて分からない

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最後にはお母さんは泣きだし、会社にいるお父さんに電話をし始めた。電話が切れるとお母さんはあたしの腕を掴んで 「優衣。ちょっとお出かけしよう。」 お母さんは口をぎゅっとしながら、あたしを車の後ろに乗せた。車はずっと走り続けた。お母さんは何も話してこなかった。あたしも泣き疲れていて、車の振動が気持よく感じてきて眠くなってきた。あたしとお母さんのあいだには車のスピーカーから聞こえるラジオの音しかしなかった。  車がどこかに着いた。病院のようだった。そのころのあたしにはそこが何をするところなのかわからなかった。  病院でお母さんはすぐに受付に行き、病室に通された。 そこには綺麗な若い女のお医者さんがいた。 お母さんはあたしの方を向いて 「優衣。お医者さんに今日のこと教えてあげて。」と言った。 あたしは話し始めた。お医者さんはにこにこしながら聞いてくれた。  最後まで話し終わると、お母さんはまた泣きだしそうになっていた。 「お母さまは少し外で待ってもらえますか?うちの病院の特製のハーブティーをお飲みください。きっと心が静まりますよ。」 医者に言われ、お母さんは病室から出て行った。 お母さんが出ていくのを見ていた。
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