いつどこで誰に会えるかなんて分からない

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 あたしは小学校5年生の時から塾に通っている。毎週火曜日に駅前の「さく塾」に通っている。小学校のテストはそれなりにできるほうだったし、周りの人たちが塾に通い始めたので、同じように通い始めた。塾での成績もそれなりにできたおかげで一番のクラスに入っている。 今年の4月の面談では中学受験を薦められた。それまで受験など考えていなかった。 勉強は特に嫌いなわけでもない。苦手な科目もなかった。資料集などを見ているのが好きだったことが、もしかしたら勉強できた原因なのかもしれない。あと、学習マンガにはまっていたこともあった。それも原因なのかもしれない。小学生にしてはいろんなことを知っていた。 でも、勉強のために読んでいたのではない。自分にしか見えないこのブレスレットについてなにか書いていないか調べていた。しかし、どの本を読んでもそんなことは書いていなかった。 神話や伝説など、物語にはそんな話が載っていたこともあった。情報を得るために、試しにインターネットの掲示板に書き込んでみたこともあった。その時の返事はさんざんだった。精神異常者とか、子供の空想、思い込み、などと書かれた。 そのあと、それは全部消した。見ていられなかった。今では、母に最初にこのブレスレットを見たときの気持ちがわかる。インターネットに書き込んできた大人のような考えを母はしていたのだろう。 そんなことを考えながら、自転車で駅前に急いだ。今日は塾を休む予定だ。さっき塾にはけい連絡をいれておいた。 「はい。さく塾の若田です。」 「先生。唐坂結衣です。すいません。体調が悪くてどうしても塾に行けそうにないんです。」 「ゆいちゃん。大丈夫?分かった。ゆっくり休んで、早く元気になってね。」 若田先生は最近入った大学生である。若くてきれいな先生で、親しみやすい先生だ。だれにもため口だった
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