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優しく持ち上げる形で撒かれた蔓はどれ1つとして痛くは無かったし敵意は全く無かったからだ。
蔓は次々に絡み合いまるで揺り籠のように編みこまれるとその中に俺は降ろされていた。
中は柔らかく、心地良かった。
俺は笑顔で樹を見上げると言う。
「此処は父さん達の畑なんです。
お願い。」
そう言って首を傾げて笑顔になる俺に樹は身体を震わせて次々に綺麗な花を咲かせる。
そして、蔓を幾つも地面に突き刺して行く。
それと同時に驚く事が起きた。
今にも枯れそうに弱っていた筈の野菜達が次々に葉を茂らせて行き、明らかの様相が変わっていた。
艶々とし、丸々とした実が実った。
「「「「「おおーーーーーーーー!!!!」」」」」」
驚愕の表情をする家族達。
俺の家の畑は明らかに周囲の畑とは様相が違っていた。
俺を乗せた揺り籠はユラリと揺れて地面の近くに降ろされる。
俺はにっこりと笑顔で、父親達に言う。
「これで・・・・・・この畑はずっと護ってくれますよ?父さん。」
ニコニコと言う俺の様子に呆然と言う父。
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