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「え?本当ですか?」
兄は得意気に胸を張って言う。
「うん。そうだよ。父さん達はお前の守り神なんだろうって言ってた。
懐かない筈のウォルフがずっと近くに居るからさ。
でも、俺達にも触れなかったのに・・・・・・・お前は簡単に背中に乗せちゃうんだな。」
俺は首を捻る。
[琥珀・・・・お前・・・・さっきフェンリルって言った?ウォルフじゃなくて。]
離れた所で毛繕いをしながら澄ました顔で言う琥珀。
[ああ。我はフェンリルだ。今暫くはウォルフに身を窶すがな・・・・・・・。
そうしなければ、人間は怖がる。]
俺は苦笑した。
[そっか。]
急に笑った俺に兄が言う。
「どうかしたのか?コウ?」
俺は首を振って言う。
「いいえ。何でもありません。」
そう言って欠伸をして、母の胸に顔を埋めた。
急に眠くなったのだ。
まだ。身体は2歳なのだから、仕方ないのだろう。
俺の意識はそのまま闇に沈んだ。
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