村で

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俺が大きな泣き声を上げた瞬間だった。 部屋の外から飛び込んで来た人がいた。 「コウ!」 俺は一瞬にして父の腕から奪われていた。 「な!おい!」 父は叫んでいた。 「貴方!何をしてるんですか!何を泣かせてるのです? コウはまだ、小さいのですよ!」 飛び込んで来たのは母だった。 そして、その前に兄や姉が両手を広げて立ちふさがる。 まるで、父から俺を護ろうとするかのように。 「な!おい!」 「ダメ!コウをいじめないで!」 「コウを泣かせる父さんなんか嫌い!」 「コウはまだ、ちっさいんだから!」 「泣かせるな!」 父を睨みつける兄や姉達。 そして優しく抱きしめてくれる母。 俺は本当に嬉しかった。
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