第一章

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「淋しい…………」 憧れの独り暮らしをはじめて、3ヶ月。 仕事を終えて家に帰っても、誰も迎えてくれない。 1人で食べるご飯はとても味気なく、作る気にもならない。 寝るまでの数時間はなにも話さず、付いてるだけのテレビの音をぼーっと聞いているだけ。 生まれてから22年間、両親と妹二人との賑やかな生活の日々が、わたしにとってどれほど大切なものだったかを考えさせるには、今の寂しい時間は十分すぎるものだ。 「はぁ…」 この日何度目になるかもわからないため息をつき、淋しさを紛らわせようとした。 すると、そのため息を合図にしたように、携帯がメールの着信を知らせてきた。 このところ迷惑メールが多く、またそれだろうと対して期待もせずに携帯を開いた。 「また知らないアドレス…」 またかと思いメールを削除しようとしたのだが、なんとなく手が動き、メールを開いていた。
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