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居間は煉獄と化した。
高価な家具も、毛先の長い絨毯も既に炭化してる。
天井に吊された派手なシャンデリアは、ガラスが溶けて不気味なオブジェに変貌していた。
巧
「おー、やったねぇ」
和麻
「死んだかな」
俺達は涼しい顔で呟いた。
清涼な水と風が俺と和麻をそれぞれ取り巻き、荒れ狂う炎が近づくことを許さない。
因みに熱も遮断してるから、汗すらかいてない。
???
「た、助けて……」
弱々しい声が鼓膜を刺激する。
俺は和麻の足元の黒っぽい物体に目をやった。
悲鳴と共に結界に転がり込んできたのは、元依頼人の坂本だった。
あちこち焦げてはいるが、残念ながら死にそうな様子はない。
坂本
「ああっ、た、助けてくれっ」
坂本は叫びながら、和麻の脚に縋りつこうとするが、しかし、和麻は坂本を蹴り飛ばした。
がすっ!
更に、新たな苦痛にのたうち回る坂本を踏みつける。
スリッパ越しでも嫌だからなんだろう、踏むっていうよりも踵を打ち下ろすって感じだな。
頭蓋骨が軋む音が聞こえたような気がしたが、別に大した問題ではない。
そして俺はファインプレーを決めた和麻にサムズアップ👍をする。
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