『Alice』と赤い本

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嫌いじゃないと言われて、恥ずかしいのか、嬉しいのか訳が分からなくなった四葉は怒るに怒れなかった。 『あ、ちょっと下着ずれてたから』 一久は寝転んで目をつぶったままつぶやいた。 「う…。どこ見てんの変態!!」 四葉はまた顔を真っ赤にして怒鳴った。 『そうなんども怒鳴るなよ…。耳が痛くなっ…!!』 寝転んでいた一久に、突然重たい物がのし掛かった。 一久の口がのし掛かってきた物で塞がれ、会話は途切れた。 「んっ…」 一久の顔にのし掛かった物は言葉を発した。 要するに人だ。 『んんんっ!? んんんっんんんっ!? んっ? んんんんん…(なんだ!? どうなってんの!? んっ? やわらかい…)』 「一久のバーカ!! その子の胸に潰されて窒息死しちゃえ!!」 『んっ?』 「んっ?」 『んんん?(その子?)』 「その子?」 『んんんんんっ!?(ええぇぇえっ!?)』 「ええぇぇえっ!?」 「ひ、人!? なんで!?」 驚いた四葉は、腰が抜けてその場に座り込んでしまった。 「…あれ? ここは?」 一久の上にのし掛かっていた少女は目を覚まし、起き上がった。 『ぶはっ!! し、死ぬかと思った…。でもなんかよかったかも…』
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