『Alice』と赤い本

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「これです!!」 アリスは拾い上げた赤い本を、四葉に手渡した。 「随分分厚くて重たい本だね…」 お前も充分、分厚くて重たいよ。 そう一久は思ったが、言ったところで、殴られるのが目に見えていたので、心の声は心の奥にしまっておいた。 四葉は本を受けとり、本の表紙を見つめた。 「結構重たいんだね…。ん? Alice…? この本ってAliceって本なの?」 分厚くて重たい赤い本には、金色の文字で『Alice』と書かれていた。 次に四葉は赤い本を開き、次々にページをめくった。 「なにこれ? 何も書いてないじゃん」 「ちゃんと書いてありますよ? ほら」 アリスは赤い本の一番最初のページに触れた。 すると、真っ白だったページに、光を帯びた文字が浮かび上がってきた。 「えっ? なにこれ!? 文字が浮かび上がってきた!! 一久も見てみなよ!!」 四葉はアリスの後ろで横たわっている一久に声をかけた。 『ん…? 眠いからあとでね…』 一久はそのまま寝てしまった。 「はぁ…。一久はどんだけ寝れば気が済むんだろう…。本当に呆れるわ…」 四葉はあきれ果て、アリスに視線を移した。 「あともう一つ聞いていい?」 「なんでしょう…?」 「その…」 「なんで突然現れたの?」 『なんでそんなに胸がでかいの?』 一久は寝言を言っている。 「なんてタイミングのいい寝言…」
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