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「出来たわ!」
バンッ! と勢い良く羽ペンを机に叩きつけ、そばにいたカーナへと顔を向ける。
「……凄いですね。習い事にお勉強、全ていつもの半分の時間で終わってます」
「私が本気を出せばこんなものよ!」
早くユウスケからお話を聞くために、朝食を食べ終えた後、がんばって今日の分のノルマを全て終わらせたのだ。
これで……。
「これでユウスケの所に行っても良いわよね?」
「はい。気をつけて行ってらっしゃいませ」
「今日は遅くならないから!」
早く続きが聞きたい。
その一心で扉を開けた私は、ユウスケの部屋へと駆け出した。
「ああ! 走っては危ないです! メル様!」
「大丈夫よ大丈へぶッ!!」
「……ドレスで走ったりなさるから」
「~~~ッ!」
恥ずかしさのあまり体をプルプルと震わせながら、私は立ち上がり、ユウスケの部屋へと急いだ。
……早歩きで。
「────と、ここで一息」
「えぇ!? ねぇ柳は!? 柳はどうなったのよ!?」
「まぁ、落ち着いてください。ちゃんと続きは教えますから。喋りっぱなしで疲れたんです」
そう言い、さっき執事に持って来させた紅茶をズズッと啜るユウスケ。
だけど私は続きが気になって落ち着いてなどいられない。
「まだなの? ねぇってば、まだなの?」
「……落ち着いて紅茶も飲めませんね」
ユウスケが何故か私にあきれた様な視線を向けた後、「わかりましたよ」と言って話を再開した。
「ふぅ、面白かった!」
ユウスケの所でお話を聞き終えた私は、カーナとの約束の通り、だいぶ早めにユウスケと別れた。
それにしても……ユウスケの話はやっぱり面白い。
私も、あんなに凄いニンジュツなんかを使えたらな……。
もし使えるとしたら何が良いかしらね……。
……やっぱり、柳の『治癒の力』かな。
他のはちょっと凄すぎるし……これなら回復魔法を覚えたらなんとかなりそうよね。
でもな……魔法の先生はまだ早いって言うだろうし……。
だれか他に魔法のうまい人は……。
……! そうだ、あの人がいるじゃない。
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