フォワライト王国のお姫様

17/34
前へ
/668ページ
次へ
「出来たわ!」 バンッ! と勢い良く羽ペンを机に叩きつけ、そばにいたカーナへと顔を向ける。 「……凄いですね。習い事にお勉強、全ていつもの半分の時間で終わってます」 「私が本気を出せばこんなものよ!」 早くユウスケからお話を聞くために、朝食を食べ終えた後、がんばって今日の分のノルマを全て終わらせたのだ。 これで……。 「これでユウスケの所に行っても良いわよね?」 「はい。気をつけて行ってらっしゃいませ」 「今日は遅くならないから!」 早く続きが聞きたい。 その一心で扉を開けた私は、ユウスケの部屋へと駆け出した。 「ああ! 走っては危ないです! メル様!」 「大丈夫よ大丈へぶッ!!」 「……ドレスで走ったりなさるから」 「~~~ッ!」 恥ずかしさのあまり体をプルプルと震わせながら、私は立ち上がり、ユウスケの部屋へと急いだ。 ……早歩きで。 「────と、ここで一息」 「えぇ!? ねぇ柳は!? 柳はどうなったのよ!?」 「まぁ、落ち着いてください。ちゃんと続きは教えますから。喋りっぱなしで疲れたんです」 そう言い、さっき執事に持って来させた紅茶をズズッと啜るユウスケ。 だけど私は続きが気になって落ち着いてなどいられない。 「まだなの? ねぇってば、まだなの?」 「……落ち着いて紅茶も飲めませんね」 ユウスケが何故か私にあきれた様な視線を向けた後、「わかりましたよ」と言って話を再開した。 「ふぅ、面白かった!」 ユウスケの所でお話を聞き終えた私は、カーナとの約束の通り、だいぶ早めにユウスケと別れた。 それにしても……ユウスケの話はやっぱり面白い。 私も、あんなに凄いニンジュツなんかを使えたらな……。 もし使えるとしたら何が良いかしらね……。 ……やっぱり、柳の『治癒の力』かな。 他のはちょっと凄すぎるし……これなら回復魔法を覚えたらなんとかなりそうよね。 でもな……魔法の先生はまだ早いって言うだろうし……。 だれか他に魔法のうまい人は……。 ……! そうだ、あの人がいるじゃない。
/668ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9527人が本棚に入れています
本棚に追加