フォワライト王国のお姫様

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「私は人間界に行く前の時点で、既にそのくらいの力を持っていた。人間界に入ってから、さらに年月が経っているし、普通はそれ以上に力を着けていると考えるのが妥当だろう。……しかし、あの時襲撃して来た悪魔は、強い者で上の下……弱い者だと下の上クラスの者まで居た」 「……強いと解っている相手に、わざと実力の無いものを当てた……って事ですか?」 「その通りだよ」 ……でも、それっておかしくないか? 悪魔って同胞を大事にするんだよな? だってこれじゃあまるで……。 「私達の実力を測る為に、仲間を犠牲にした……とは考えられないかい?」 ……そうだ。正にそれなんだ。 「……もし、仮にそうだとしても、悪魔は全員倒したんですから問題は無いんじゃないですか?」 「いや、それがそうでも無いんだ。悪魔の持つ黒い霧は纏っていた者が見聞きした事がらを記録する事ができる。もしあの悪魔達の霧が、別の悪魔の元へと向かったのなら、情報を得る事も可能だろう」 ……! そう言えば、Sランク試験の時に男から出てきた黒い霧はどこかに飛び去ろうとしていたな……。 「仲間を犠牲にする……。悪魔が行うとはとても思えない行為だ。……しかし、どうも私は胸騒ぎがするんだ。何も起こらないと良いが……」 ……ケビンさんのこの願いは。 ダンッ! ダンッ! 叶う事は、無かった。 「『漆黒の賢者』様!!! 『仮面ライダー』様!!!」 まるで拳を叩きつけたかのような激しいノックに反応し、俺とケビンさんは一斉に扉へと顔を向けた。 「緊急事態です!!! 『紅竜の主』様が重傷を負って帰還されました!!! 城の回復魔法部隊の者では足りません!!! どうかご助───」 ───バァァァァァンッッ!!!! 知らせを全て聞く前に、ケビンさんは扉を開け放ち、知らせに来てくれた兵士に詰め寄った。 「アンリはどこに居る!!!」 「はっ! 城内王の間、そこで応急手当てをしております!!」 兵士の言葉を聞き終えるやいなや、風の如く走り出したケビンさんに、俺も負けず劣らずの速度で追いかけた。 何があった……!? さっきの胸騒ぎはこれか!? 畜生!! アンリさんに重傷を負わせる何て何者だよ!? 頭をいろいろな疑問が掻きまわす。 口に出しそうになるそれを抑え、全力で彼女の元へと急いだ。
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