フォワライト王国のお姫様

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メル様が拐われた!? アンリさんは、この事を伝えた瞬間フッと体から力が抜け、気を失った。 「アンリッ!!」 「気を失っただけです! このまま治療を続けます!」 集中しろ!! もっと鮮明に想像するんだ!!! 俺が集中するのに比例して、アンリさんの傷の治りが速くなっていく。 ……程なくして、この王の間に1人の人物が現れた。 「な……何という事だ……」 「陛下!」 現れたのは、この国フォワライト王国の王様。 直ぐにこの王様も、回復魔法部隊の男達から衝撃的な事実を突きつけられた。 「メルが……我が娘が拐われただと!!?」 自分の娘が、Sランクの人間をここまでぼろぼろに出来る敵に拐われた。 不安……どころの話では無い筈だ。 「陛下……私とゴクウ君がメル様を連れ戻します」 ここで、アンリさんが気絶してから口を継ぐんでいたケビンさんが口を開いた。 「2人なら、敵に勝てるかもしれません。……そして何よりも、アンリを痛めつけた奴を……私は許せない!!」 ケビンさんから放たれる、怒りに満ちた闘気。 それは、我が子を苦しめられた怒りに悲しみ……正しく親のそれだった。 「……ケビン、ムラエダ殿」 王様は、そのケビンさんからの視線を正面から受け止め、目を瞑る。 それが見開かれ、ケビンさんと俺を見据え一言。 「……死ぬでないぞ」 「「はっ!!」」 王様はわかっているのだろう。 これが罠だと。 アンリさんを痛めつけ、ケビンさんを誘き寄せる、悪魔達の作戦だと。 それでも、それがわかっていても、ケビンさんを行かせるのは、同じ親として……子を傷つけられた痛みが、痛いほど良くわかるからだろうか。 それから数十分後、アンリさんの治療が完全に終了した。 その後の手当ては回復魔法部隊の男達に任せ、俺とケビンさんは転移魔方陣の用意してある部屋へと向かう。 向かっている間は、終始無言。 ただ、体の内側から沸き上がる激しい怒りを感じていた。 「『漆黒の賢者』様! 『仮面ライダー』様! どうかご武運を!!」 部屋の番をしていた兵士から、激励の言葉を貰い部屋に入る。 すぐに目当ての魔方陣を見つけ、その前に立った。
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