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ドゴォォォォォ!!!
凄まじい衝撃音が鼓膜を揺らす。
よし決まっ……何?
「なっ……」
驚愕したのはゴクウ。
「……どうした?」
そして、余裕の笑みを見せつけるは魔王。
「こんなものか?」
「『焔群』……を……受けきった……?」
「ハッ……。こんな技を受けきったぐらいで一々驚くな。……どれ、1つ面白い物を見せてやろう」
振りかぶられる魔王の拳。
───ッ!!? あれは!!?
「避けろゴクウゥゥゥゥ!!!!」
魔王の、黒ずんだ甲殻に守られた右腕。
それに、まるで蛇の様に絡み付いていた漆黒の炎は……!!
「───『焔群』?」
ドガァァァァァァァァァン!!!!
直撃を受けたゴクウの体がくの字に折れ曲がる。
足が地を離れ、ゴクウの体が宙を飛ぶ。
「ゴクウゥゥゥゥ!!!」
魔力を練り上げ、体に纏う。
風によって助長された炎が俺の体を押し、俺の限界速度でゴクウへと追いついた。
体を張ってゴクウを受け止め、殺し切れなかった勢いで背中をする。
「ゲホッ! ガハッ!」
強烈な一撃を貰い、吐血するゴクウ。
なんだこの威力は……?
これが『ホムラ』の力?
拳の威力を上げるのか?
……なら魔王は、強化されたゴクウの拳を受けきった上で……技を真似るなんてまねを!?
「ケ……ケビンさん……ありがとうございます。もう大丈夫です……立てます」
「ほぅ。今のでその程度のダメージか。体は頑丈な様だな」
くっ……何をやってるんだ俺は……!!
アンリを……アンリをあんな目に合わせた奴が目の前にいるんだぞ!!
「……そう殺気を放つなよ。お前ではどうしようも無いことはわかっているんだろう? 俺を倒せる可能性が有るのは……神の使いだけだ」
「俺……だけ?」
「なぁに、簡単な話だ。俺は魔力を打ち消せる」
「くそったれが……」
こいつの能力……それは『魔力を打ち消す甲殻』。
この忌々しい甲殻のおかげで、俺はこいつに攻撃出来ないでいる。
単純に硬度も固いため厄介でならない。
……だがやってやる。
どうにか手段を見つけ出し、こいつをアンリと同じめに……いやそれ以上に痛めつける。
こいつには……死すら生ぬるい。
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