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「ぐッ!」
「ちくしょう……!」
強烈な爆風を体に受け、さらに後ろに後ずさる。
「……ゴクウ」
それがようやく止まった時、ケビンさんが俺を呼んだ。
「……はい」
「ジェリーは俺が目を覚まさせる。お前はその間……あのくそ野郎とやれ。終わったら代われよ。止めは俺が指す」
「嫌です」
「……あ゙?」
ちょ……顔が恐いですケビンさん。
「止めは2人でです」
「……ハッ、わかったよ。……死ぬんじゃねぇぞ」
「はい!」
俺の返事を聞いたケビンさんは、操られているジェリーへと向かい走り始めた。
……俺も、俺が倒すべき相手へと体を向き直す。
「ククッ、さぁ始めようか」
最初から全力で。
手を抜いて勝てる相手では無い。
その為の第1手。
宙に描くのは……『焔』。
「またそれか? それは効かないとわかって……!!」
続けて描くのは『砕』。
俺の腕から三日月を半分にした様な炎の刃が生えた。
それを確認した俺は、魔王に向かって駆け出す。
「どうした? 最初のは不発か?」
「それはどうかなァッ!!!」
瞬間、『砕羽』の根元の部分から『焔』の炎が現れた。
「なッ!」
二竜同時召喚。
『八竜』には、相性という物が存在する。
相性の良い竜同士を同時に召喚する事で、その竜の炎の能力を合わせ持った、新たな炎を使う事が出来るのだ。
腕に巻くことで、パンチ力をパワーアップさせる事も出来るが、『焔』の炎の能力はムチだ。
そしてその炎が、『砕羽』の刃の炎と合わさり……炎の鎖鎌へと変化した。
「クッ!」
急に変化した炎の動きに対応出来ず、鎖で体を縛られた魔王に、鎌の刃が襲う。
「こんな物ォ!!」
鎌が魔王に刺さる直前、奴が力任せに炎の鎖を引きちぎった。
……化け物かよ。
でも……まだだ!!
宙に描く字は『崩』、そして『砕』。
『崩』の炎は火の玉、『砕羽』の炎は刃。
三日月状の刃の火の玉が、次々と魔王に飛んで行った。
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