フォワライト王国防衛戦

5/22
前へ
/668ページ
次へ
「ぐッ!」 「ちくしょう……!」 強烈な爆風を体に受け、さらに後ろに後ずさる。 「……ゴクウ」 それがようやく止まった時、ケビンさんが俺を呼んだ。 「……はい」 「ジェリーは俺が目を覚まさせる。お前はその間……あのくそ野郎とやれ。終わったら代われよ。止めは俺が指す」 「嫌です」 「……あ゙?」 ちょ……顔が恐いですケビンさん。 「止めは2人でです」 「……ハッ、わかったよ。……死ぬんじゃねぇぞ」 「はい!」 俺の返事を聞いたケビンさんは、操られているジェリーへと向かい走り始めた。 ……俺も、俺が倒すべき相手へと体を向き直す。 「ククッ、さぁ始めようか」 最初から全力で。 手を抜いて勝てる相手では無い。 その為の第1手。 宙に描くのは……『焔』。 「またそれか? それは効かないとわかって……!!」 続けて描くのは『砕』。 俺の腕から三日月を半分にした様な炎の刃が生えた。 それを確認した俺は、魔王に向かって駆け出す。 「どうした? 最初のは不発か?」 「それはどうかなァッ!!!」 瞬間、『砕羽』の根元の部分から『焔』の炎が現れた。 「なッ!」 二竜同時召喚。 『八竜』には、相性という物が存在する。 相性の良い竜同士を同時に召喚する事で、その竜の炎の能力を合わせ持った、新たな炎を使う事が出来るのだ。 腕に巻くことで、パンチ力をパワーアップさせる事も出来るが、『焔』の炎の能力はムチだ。 そしてその炎が、『砕羽』の刃の炎と合わさり……炎の鎖鎌へと変化した。 「クッ!」 急に変化した炎の動きに対応出来ず、鎖で体を縛られた魔王に、鎌の刃が襲う。 「こんな物ォ!!」 鎌が魔王に刺さる直前、奴が力任せに炎の鎖を引きちぎった。 ……化け物かよ。 でも……まだだ!! 宙に描く字は『崩』、そして『砕』。 『崩』の炎は火の玉、『砕羽』の炎は刃。 三日月状の刃の火の玉が、次々と魔王に飛んで行った。
/668ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9527人が本棚に入れています
本棚に追加