prologue:汝、とかく儚き真約の歌を

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初めて恋をした。 出逢いは些細な巡り合わせで、きっかけは呆れ返るほどに単純だった。 性格は真逆なのに、なんとなく気が合った。 いつの間にか互いの隣には互いがいて、それが当たり前になっていた。 今日もいい天気だね、なんて他愛もない話をした。 たまには一緒にどこかへ行こうよ、なんてぶらりと出掛けた。 これで居なくなったりしないでしょ、なんて温かく手を繋いだ。 そばに居ると安心するんだ、なんて身を寄り添い合った。 ずっと一緒に居ようね、なんて唇を重ねた。 どっちから告白した覚えはなく、自然と俺たちは恋人同士になっていた。 神様っているんだね。 だって、私たちを出逢わせてくれたんだもん。 あいつは本当に幸せそうに笑った。 笑い、泣き、時にはケンカし数日間口を聞かなかったこともあるけど、あいつを思う感情に嘘はなくて、仏頂面と言われ続けてきた表情がいつしか緩んでいた。 誰かを好きになって、周囲の景色が明らむのがわかった。 誰かを好きになることの、誰かを好きでいられることの喜びを知った。 たった十数年ぽっちしか生きていないガキなりに、これが幸せなんだと精一杯嬉々とした…… そして……幸せとは儚いものだと、絶望に涙した……
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