prologue:汝、とかく儚き真約の歌を

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初めて涙を伝わせた。 初めて誰かのために哀しんだ。 初めて誰かが死ぬのを目の当たりにした。 目尻に浮かばせた真珠みたいな涙を…… 鮮やかなまでの赤を…… 動かなくなっていく身体の冷たさを…… 最後まで太陽のようだった笑顔を…… 俺は忘れない……忘れちゃいけない…… あの夜ほど涙したした時はない。 叫んだことも。 何も出来ない自分を責めたことも。 悔やんだことも。 力一杯誰かを抱き締めたことも。 この世に神様なんてものがいるなら……何故あいつは助からなかったというんだ…… カノン…… 神様なんか、いないんだ…… その時を境に、俺は恋することを……夢と希望を持つことをやめた。
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