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やはり、自分の名前を覚えていないというのは驚くに値することなのだろう。
一刻も早く、せめて名前くらいは思い出さなくてはと思っていると、集落の入り口辺りが何やら騒がしいことに気付く。
何事だろうか、と騒ぎの中心まで行ってみると、昨日宴について親切に教えてくれたおじさんが傷だらけで倒れていた。
森の主とやらに襲われたらしい。
その主とやらは、人の言葉を話す巨大な虎で、村の守り神的な存在であるらしいのだが、今日は様子が違ったそうだ。
なんでも、目は血走り、毛は逆立ち、そして獣のように狂暴だった、と。
なにやら、嫌な予感がUターンして帰ってきたような気がした。
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