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亡くならない記憶
一片の雲すら見えない晴れ晴れとした青空が広がる。本日の快晴を約束する空模様に一部の人は感謝し、予定通りコミケを開催する。コミケとは、少し昔に廃れた趣味の販売の催しである。
高層ビルに囲まれた中心に、今となっては昔の面影もないサークル状の公園がある。この場所は、元は公園ではなく聖地とまで吟われた場所で、夏になると人だかりが絶えない程に有名だった。
しかし、その発展した文化は世間にとってイメージが悪く、程なくして地域と業者からの強い希望で埋立地になり高層ビルばかりが建った。高層ビルは東西南北に分けられ、合計四つのビルが公園を囲む。公園の中心には地味で古くさい噴水が存在してるが、散歩する人すら居ない寂しい土地となる。
かくして、そんな公園を持て余すのは勿体無いと、一人の英雄が地域住民と管理人に話をつけ、聖地巡礼者の一年に一度行われるイベント開催地となる。
噴水手前にあるベンチに腰掛け、賑わった人達を見る。
強い日差しが照りつけるにも関わらず、男の集団は意気揚々としている。代わりにシャツは汗で湿っており、周辺には熱気が漂っていた。
その光景は、ある意味で熱いとも呼べなくもない。一種の祭りだと思えば、悪くは見えない。
辺りを見回し、一人の少女を見つけると視線を空に向ける。
眩しい日差しが顔に差し込み目を瞑る。
暗闇になった景色を見て、感慨深く呟く。
「これは……幸せの魔法なのかも知れないな」
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