第二章 説得

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   酒出程の刑事に、捜査手法を教えた人物が事件を起こした。  その事件を振り返り、酒出は「ハメられた」と溢したと言う事は、高桑は酒出に捜査をさせない事を考え、事件の計画を練ったと言う事にもなる。  つまり、酒出の捜査を封じ込めた事で、目的を達する事が出来たと言うのだろうか。  柿崎の中に、様々な疑問が沸いてくる。  高桑の動機は、何なのか。  自身が死ぬ事は、計画の内に入っていたのか。  本当に、単独犯だったのか。  本当に、目的を達したのか。 「酒出さん。事件は、これで終わりなんですか?」 「ヒヨコ。捜査資料を、ここに持ってこい」 「あっ、はい」  酒口は、慌てて駆け出すと撤収する総務部の警官に掴みかかり、捜査資料を受け取った。  そして、一同の元に戻る。 「高さんの遺留品の中に、手帳があったか見てみろや」 「手帳ですか、ちょっと待ってくださいね」  酒口は、捜査資料の中から遺留品のリストを取り出し、そのリストの中に手帳の存在を探す。  だが、手帳の記載は無い。
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