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ただ彼としては、コンビを組む北方刑事が酒出と旧知の仲である為、表立って文句が言えないのだ。
先ほどの言葉も、刑事課長に言った言葉である。
かくして、活動拠点は決まってしまった。
例によって、朝一番で刑事課の全員が揃いながらも、酒出は姿を見せずに出鼻を挫かれる。
「やっぱり、そうなるか……」
八次が、ボヤく。
酒出のサポートは、酒口と松本が任命されているので、北署の刑事課が勢ぞろいする必要は無いか、何を思ったか署長の高見沢が、全員で協力体制を築けと言い出したのだ。
何かの思惑がある。
班長の北方刑事がそう読んだのも、普段なら全面協力など絶対にしないからだ。
「おい、ラッキーボーイ。酒出を、呼び出したらどうだ」
「もう、何度もやってます。ご自宅の奥さまは、既に出てるとおっしゃってますし、携帯には出ないんですよ」
「まったく、あいつ……」
流石の北方も、その表情を強張らせる。
実際問題として、今回の事件は終わっていない。それは、北方も、同じ意見なのである。
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