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そして、昼まで一時間となった時、ようやく酒出は刑事課に登場した。
「よぉ、千葉北署刑事課の諸君お揃いで」
「酒出。お前、いい加減にしとけよ」
「北さん、何をそんなに怒ってんだよ」
「怒るに決まってるだろ。大体、今何時だと思ってやがる。んっ、お前、酒臭く無いな」
「あぁ、今回は相手が俺のお師匠さんかもしれんのだ。酔ってる場合じゃねぇんだよ」
そう、酒出から酒の臭いが一切しなかった。
今までの彼であれば、酒の臭いをプンプンさせて、周囲の人間を不快にさせるのだが、今日に至ってそれが無い。
彼の言葉通りなら、アルファホテルの被害者である、高桑 陣八が被疑者であるならば、師弟対決と言ってよいだろう。
だが、酒出も微妙な言い回しであった。
かもしれない。
それは、彼の中で高桑が被疑者では無く、容疑者だと思っているのだろう。
いや、思いたいのかもしれない。
「じゃあ、何でこんな時間に来たんだよ」
「あぁ、ある物を探しててな」
「ある物?」
「あぁ、そこに置いてある」
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