第三章 七年前の事件

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   酒出が指差した先には、台車に乗った段ボール箱が二つ乗って、刑事課の入り口に置いてある。  それを酒口に運ばせる。 「酒出、これは?」 「俺が、高さんと組んだ事件の資料だ」 「捜査資料を、茂原署まで取りに行ったのか?」 「いや、家から持ってきた」  酒出と北方の会話の間に、酒口が段ボール箱を開いていた。  中からは大量のノートが出てくる。それも、年季が入り茶色がかったものが多数。 「酒出さん、これって……」 「言ったろ、高さんは俺のお師匠さんだと」  事件の詳細を書き込んでいくのは、酒出のオリジナルでは無く、高桑から引き継いだ手法のようだ。  試しに酒口は、その中の一冊を手に取った。  そして刑事課の面々も、各々がノートを手に取り開いてみる。 「うわっ、汚ねぇ字」 「こんなんじゃ、何が書いてあるか読めませんよ」  刑事課の面々から、非難の声が上がる。  ただ一人、松本だけは沈黙を決め込んでいた。  だが、酒出はそれを気にも止めず、思い出話しでもするように切り返す。
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