ダンス(白雪)

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 国王である彼の父は彼と違って無類の女好きなのだが、どうしてそれが息子に遺伝しなかったのか。なんという不条理。  しかしそんな国王は、決して王子に対して無理に女性を当てがおうなどとはしない。女性嫌いの原因を作ったのが国王自身だということも起因しているのだろうが。  後継ぎ世継ぎなど、大した問題ではないとのこと。無理に子をなさずとも、孤児などを養子にすればよいとの考えには、少々無理があるようだが悪い考えではない。  もちろん、王子が嫁を娶って子を成すのが一番いいのだろうが。 「だからって、どうして私なんだ! 貴方ならそれこそ稚児になりたいだとか、愛人にとか、寵愛を望む者だって探せば多いでしょう」  女性受けが良い容姿というのは、同時に一部の男性受けも良いということだ。高嶺の花と見上げるだけの恋心を抱いた者だって少なくはない。 「ああ、そんなものに興味はないよ。それともなに? 白雪は僕が他の子を愛してるのを見てるのが楽しいの?」 「なぜそうなる」 「でも残念。いくら白雪がそういう変態な思考があっても、さすがに白雪以外に触れるのは嫌だから、ごめんね?」 「ふっざけるな、私が変態なんじゃない、貴方が変態なだけろうが!」  叫べば、耳元から顔が離され、正面から視線を合わせられる。その顔は心底驚いたような表情で、意味がわからない。
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