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長らく日の光を見なかった部屋は、ドアが開いたとたんに室内中の埃を浮き彫りにさせた。
「‥‥‥‥レナ‥」
当然だが、レナは21年分老けてしまっていた。俺を置いて人生を先に進めてしまったと思うと、彼女の顔を直視出来なかった。俺にはまだ、あの日は一年前の出来事でしかないというのに。
「‥‥やあ、レナ。」
「ハリソン‥久しぶり。」
レナも俺を直視できないみたいだ。20年も経てば、こんな辛気臭い場所で酒浸りになっている男なんかより、今の旦那さんとつくった家族と時間が、レナのホンモノの人生の筈だ。
「済まない、散らかってて‥‥」
あるいは、俺の堕落っぷりを見て内心嘲笑いに来ただけとか。さすがにそれはないか。
「あなたは若いままね。私、オバサンになっちゃった‥‥」
服装を見たところ、恰幅よく、凛とした生まれのよさも維持しているようだ。おおかた別の貴族の旦那と結婚したんだろう。
「私、あなた以外に頼れる人間がいないの。」
そういって、彼女は苦虫噛み潰したような表情だった。
旦那さんの失踪。その調査をしてほしいと、単刀直入に言ってきた。
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