プロローグ

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* * * * 人の上に立ち、人を導き、人を守る。それが貴族。貴族は今の時代でいえば、軍人であり、裁判官であり、警察でもあった。そして俺達は中でも警察活動を専門とする、新たに国に認められた貴族だった。 確かに他の由緒正しい偉いさんからすれば、俺達は同じ貴族でも末端。犬かもしれん。ディテクターバロンの設立理由こそ、流入する移民に手を焼いて、やむ無く警察権限を腕利きの賞金稼ぎに委託したかったというだけのことだ。『貴族になれる』ということを餌にして‥‥。 だが貴族は貴族だ。腰が据える居場所が出来て、なおかつ税もとられない。当時の俺にとって、バロン『男爵』は誇りだった。 それも21年前の話。あの頃が懐かしい‥。今ではもう、貴族もへったくれもない。国は王政から共和制へと移行し、貴族階級なんてものも俺が壺の中で居眠りしている間になくなっちまった。 俺が召喚士と対峙したあとの記憶は、抜け落ちてしまっている。気がつけば俺は壺の封印から救助され、外の世界では20年が経っていた。
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