第5章 群雄割拠の布石

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洛陽――古来より物流によって栄え、四方は堅牢な関所によって守られた後漢時代の中枢とも言える都市。 皇帝が座し、人口も並外れて多く、地方の情報を細かく印された書も取り揃えられている完璧都市。 その門前に俺達、霞と恋の軍勢10万が並んでいる。 後ろを振り向けば土埃と泥で薄汚れた傷だらけの鎧を纏い、擦り傷が多数ある者から腕に包帯がグルグル巻きの兵士……と、様々ではあるがどれも皆希望に満ち溢れた笑顔である。 俺がこの世界に現れ、そしてつい二日前に初陣を果して見事に勝利し、当初の目的地である洛陽に到着すれば兵士達もそりゃあ安堵して笑顔になるというもの。 まぁそれはさておき門をくぐり抜けて入ると、無数の人の熱気と商人達の掛け声や道端での会話で喧騒は絶えず、張り巡らされた屋台や店には随時人が出入りしている。 「はぁ~、壮観だね」 思わず声が漏れるほどの騒がしさ、でもそれは『耳障り』という騒がしさではなく、どこか安心感が込み上げて来る様な……そう、平和を彷彿とさせる『賑やか』とでも言うべきか。 「まぁ中央やし、物流も多くて人も店も豊富。商売人やら士官目的やらで人の流用が絶える事はないもんなぁ……でもまだ気は抜いたらアカンで? 董卓ん所に着くまでしっかりしとき」
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