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坂出の少女 2
ある日突然、彼女は故郷の坂出へ帰ると、僕に別離を告げた時、思わず抱き締めたい衝動にかられた。
「黒住さん、本当にお世話になりました。機会があれば、またこちらへ来ます。その時はきっと知らせます」
彼女はうっすらと涙をにじませ、僕の手を握りしめて言った。
僕は、彼女の慰めの言葉なんか、少しも欲しくはなかった。
一言、愛していると言って欲しかった。
「きっとだよ。こちらへ来たら、必ず知らせてくれよ」
「ええ。約束するわ。体に気をつけてね」
「ありがとう。君も元気でね」
こうして二人は別れた。
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