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これだけ一緒にいて、今さら自己紹介ってのも間抜けね。
「私は北本 遊といいます。
父は小説家、母はイラストレーターです。」
「えっ!あの北本さんの娘さん!」
桶川さんは、こちらを見て呆然としている。
「わぁーっ!桶川さん、前見て前!」
運転中に横見て固まるなっ!
「ご、御免ね。ビックリしちゃって。」
「私まで道連れにしないで下さいね?」
洒落にならないわ。
「あはは、気を付けるわ。
しかし、驚きの連続ね。確か妹さんもテニスで有名よね?」
「はい。私だけ取り柄が無くて、肩身が狭いんですよ。」
事情を話し、深いため息をつく。
「なら、声優になれば良いのよ。それで解決ね!」
私は反論する気力も無かった。
そうこうしている内に、スタジオの駐車場に着いた。
「さて、行くわよ!」
車を停め、エレベーターに乗る。
「私の名前は伏せてもらえますか?」
「何故?北本さんの名前は武器になるわよ?」
声優をやるかどうかは分からない。それに、親の名前を借りたくない。
「分かったわ。じゃあ、芸名はユウリでどう?」
こうして私は「声優 ユウリ」になった。
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