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車の中で髪を結ぶ。
「皆さん、よい人達ですね。」
この業界の人って、皆そうなのかな?
「そうね。あの現場はベテランが多いから。」
ベテランだから?どういう事だろう?
「声優ってね、熾烈なのよ。
だから、新人のうちは足の引っ張り合いみたいな所もあってね。」
そう、限られた仕事を取り合うんだから、ある程度は仕方ないのね。
「大変なんですね。そうすると、私はかなりラッキーなんですね。」
いきなり準主役級の役貰ったもんなぁ。強制だったけど。
「そうね。でも、いくらチャンスが来ても、それを生かせるかどうかは本人次第よ。頑張ってね。」
私は無言で頷く。
でも、まだ声優を続けるって決めて無いんだけどなぁ。
こら!そこそこ、今さらなんて言わないの!
・・・って、私は誰に言ってるんだろう?
「着いたわよ。明日が楽しみね。」
車はうちの近くまで来ていた。
「楽しみって・・・何がですか?」
「雑誌と番組よ。奇遇にも、発売と放送は明日よ。」
そうだった。すっかり忘れてたわ。
「そうですね。では、お休みなさい。」
なんと言って良いかわからず、無難に答えた。
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