幻想の月は涙する

2/2
前へ
/2ページ
次へ
僕があなたを守ります。 霧雨の中、あなたの姿が見えなくとも、僕が守ってみせます。 遠くにうっすらと見える、あなたのその背中に手を伸ばします。 ですから。 僕を見て下さい。 身勝手なのは分かっております。 でも、幻に頼るのはやめて下さいませんか。 僕は幻ではありません。 ちゃんとここにいる、実体を持った確実な存在なのです。 確かに僕はあなたを傷付けたし、劣情の慰めに抱いたこともあった。 そのとき、僕はあなたを酷く痛め付けたはずだ。 後悔しています。 あなたを弄び、そしていたずらに抱いたことを。 ですが、僕は気付いたのです。 僕が今すべきことを。 だからこそ。 僕はあなたを思い続けます。拙くても、あなたを愛しています。 だからこそ。 僕はあなたを守ります。 一生をかけ守ります。 この身が朽ちるまで、あなたを守ります。 そう決めたのです。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加