「蛙の怪」

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…奴は、目の前にいた… 情けない…本当に…情けない。 真夜を助けるつもりが… 腕に齧り付かれ…気を失うなんて。   …気を失う…僅かの時間。 その一瞬、真夜の持っている本から、変なおどろおどろしい、アレよりも、あの口のやつよりも、悪い…障気を帯びたものが飛び出して、口の化け物を吸収していくのが見えた。   真夜君…君は…一体… 真夜の顔は…そぅ… 何時もの様に笑ってはいたが、とても淋しそうな、悲しそうな、顔をしていた。 ―行かないでくれ― 私は何故か、そう…頭の中に言葉を響かせながら…口に出す力も無く…床に倒れこんだ。
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