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「…まさか。」と私は目線を一旦外していた賽銭箱に目を向けた。
何回見ても、四方の染みは消えておらずこびり付いているその箱。
「(いや…まさか…)」
その所為だと自分に言い聞かしていたが、
生臭さがとれない…と、言う事は…まさか、まさか。
賽銭箱の中?
「ぅあぁぁぁぁぁあぁぁぁ…」
考えたくない考えたくない、まさかまさかまさかまさか…まかさ?
「(…いやいや違うぞ私、とりあえず、ほら、ね?ねぇ!
賽銭箱の入り口は結構細くて狭いし、うん。中にも落としがついてるし…ね?はいらんだろ?)」
私は自分に言い聞かすように、いや、言い聞かせる為に、何度も暗示をかけた。
どくん、どくんっと心臓の鼓動が耳の置くから大音量で聞こえる。
多分、隣に誰かが居たら聞こえるであろうと言うほどに、けたたましく鳴っていた。
ゆっくりと、ゆっくりと、賽銭箱に近づく私。
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