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タクシーを拾う為
大通りまで歩き出すと
少女もその後ろを着いて歩いた
振り返って
改めて顔を見れば
大人っぽく見せる為か
濃いめのメイクを施してはいるが
見たところ10代であるのは
間違いないようだ
この時間に不釣り合いの二人に
通り過ぎる人は
訝しげな表情を浮かべている
居心地の悪さを感じながら
少し早足で靖国通りまでたどり着き
そこでタクシーを止めた
急ぐように乗り込み
行き先を告げると
タクシーは動きだした
その間 ずっと無言の二人
車内には何とも言えない緊張感が漂う
堪らなくなって
思いきって会話を切り出した
『俺はトモハル……君は何て呼べばいい?』
『…………。』
『言いたくなかったら無理しなくていいよ。』
『…………ッ。』
『んっ?』
『……ナツ。』
『ナツ?』
彼女は頷いた
あの夜 こうして
ナツと出逢った……
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