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二人を乗せたタクシーは
自宅のある中目黒へ向かっている
落ち着いて考えてみれば
出逢って30分も経たない見ず知らずの
それもこんな未成年の少女を家に連れ帰るなんて
完全にどうかしていると思った
しかし 今さら放り出す訳にもいかないし
何より この"ナツ"という少女が言った
『私も同じだよ』
の言葉が気にかかっていた
沈黙が続くまま
タクシーは見慣れた住宅街へ入っていく
隣に目をやると
頭がコクリコクリと上下しながら
小さな寝息を立てていた
それから5分ほど走ると
自宅マンション前で停車した
料金を支払い
起こしてしまうのは気が引けたが
ナツに声を掛ける
一瞬キョトンとした顔をしたが
すぐに状況を理解したようで素早く車から降りた
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