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信じられないことが起こっている。それも自分の目の前で……。
「危のうございましたね」
「うん」
動揺するあまり、まともな受け答えが出来なくなっている。
「さて、今回貴方様を窺わせていただいたのはですね……あっと、まずはおめでとうございます」
男は先程までいじっていたファイルから目を上げ、こちらにむけて深々とお辞儀をした。
なんのことか全く分からない。何がどうおめでとうなんだ?
「貴方様は今回、『God Only Knows』への挑戦権を会得されました」
「はぁ……」
えーっと、とりあえず整理しよう。目の前で何か喋ってるけど一旦無視だ。
俺は亜依を守るために、銃弾の前に飛び出したはずだ。
外れる距離じゃないし、暴発がおこったということも考えにくい。
仮におこっていたとしても、目の前の現象をどう説明するのか。
まるで時が止まっているかのように、ピクリとも動かない人々。そして銃弾。
……有り得ない。
一体どうなってるんだ?
訳も分からず慎重に、宙を浮く銃弾に近づく。
触ったらどうなるんだろう?
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