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「この国の最高法規によって……」
突然、自分の世界に入って今の今までベラベラと話し続けてきた執事のような出で立ちの男が、大声を出した。
「身体の自由が認められているため、強制は出来ませんが……あまり近づかないほうがよろしいかと」
視線は外しているが、全神経をこちらにむけているのが分かった。
「な……何で?」
問い掛けたがやはり男はこちらを向かず、視線は俺が元いたところに定まっている。
「下界人には想像もつかないような方法で、貴方の周囲の時空間を歪ませております。よって貴方は、この止まっている時空間の中で動くことが出来る唯一の……いえ、二人のうちの一人となったのです」
「で?」
「そんな異質な貴方が……今に限ってですが……制止している物体・人物に近づくと……」
「近づくと?」
男は俺が入れる合いの手に不服なのか、不満そうに苦笑いした。
「もとの運動を再開するのです」
ほぅ……ってことは……。
「銃弾に近づきすぎると?」
ここで男は先程とは打って変わり、満面の笑みをこぼした。
「もとの運動を再開します」
危な。
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