案内人 §光太§

4/5
前へ
/74ページ
次へ
「ところで、参加されますか?」 唐突にされた意味の分からない質問に頭が混乱する。 「え!?何に?」 そう聞くと男は顔に失望の色を浮かべて、これみよがしに大きなため息をついた。 「他人の話を最後まで聞くのは最低限のマナーだと思うのですが…違いますか?下界にはそれすら出来ない者達の多いこと多いこと……。大体すぐ目の前でそれなりの音量で話していることの内容を1%も理解出来ないのはどういうことでしょうか。憎たらしくてたまらない我らが上司が十割増マシに見える」 興奮しているのか、唾を飛ばしながら物凄い勢いで迫ってきた。 顔つきは豹変し、鋭い目線で刺すように見つめられる。 スッゴくけなされた……。 一方的にそこまでずけずけ物を言われると腹がたってくる。アンタが一体俺の何を知ってんだ!と。 「で?参加されるんですか?」 ろくすっぽ説明もせずに再び訳の分からない質問をしてくる。 ほぉ、そうかい? そっちがその気なら……。 「ああ!何にだって参加してやるよ!」 途端、男は元の温厚な表情を取り戻した(何故か俺は負けた気分になった) 「かしこまりました。では……」 そう言うと、右の人差し指を俺のおでこにもってきて、軽く弾いた。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加